ひとり社長は自分で自分の役員報酬を決めます。会社の法人税と個人の所得税を合わせた税金を少なくしようと思ったら、所得控除の額を知っておく必要があります。
所得控除の種類
所得控除の種類は以下の通りです。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
このうち、雑損控除や医療費控除、勤労学生控除は役員報酬の額を決めるうえではあまり考えなくていいでしょう。基礎控除は誰でも引くことができ、控除の額は38万円です。
生命保険料控除は最大で12万円です。小規模企業共済や個人型確定拠出年金に比べて控除額が少ないのが分かります。必要な保険に入ったら少し税金が優遇される程度に思っておくのがいいと思います。
地震保険料控除は最大で5万円ですし、これも節税目的で入る人はいないでしょう。
所得税の税率を把握するには所得控除の額を知る必要がある
法人税の税率を考慮すると、所得税と住民税を合わせた税率を30%以内におさえたいところです。所得税の課税所得金額が695万円以下であれば所得税の税率は20%になります。住民税の税率は一律10%ですから、これで所得税と住民税を合わせた税率が30%におさえられます。
社会保険料控除額は役員報酬の額の14.5%くらいと思っておきましょう。(厚生年金と健康保険の場合)
小規模企業共済と個人型確定拠出年金は支払った掛金がそのまま所得控除の額になります。控除額が大きいので、節税効果は抜群です。
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば受けられます。(給与収入のみの場合は、103万円以下で受けられます。)合計所得金額が38万円以上でも76万円未満であれば、段階的に配偶者特別控除を受けられる場合があります。
扶養控除は、生計を一にする親族の合計所得金額が38万円以下であれば、受けることが出来ます。
15歳以下の子については扶養控除はありませんので注意しましょう。また、年齢や状況によって38万円から63万円まで控除額が変わります。
本人または控除対象配偶者や扶養親族が障害者である場合は、障害者控除を受けられます。控除額は27万円または40万円です。控除対象配偶者または扶養親族が特別障害者などの一定の場合に該当するときは控除額は75万円になります。
所得控除の額、給与所得控除額を考慮して役員報酬を決める
所得控除の額を大体把握したら、それをもとに役員報酬を決めます。国税庁のHPで給与所得控除後の給与等の金額の表を見ることができます。
たとえば、所得控除の合計額が250万円の場合で課税所得金額を695万円以下におさえる場合は、250万円+695万円=945万円が給与所得控除後の給与の金額になります。上記の表をみると、給与等の金額に90%を乗じた金額から120万円を控除した金額が給与所得控除後の金額になることが分かります。
A×90%-1,200,000=9,450,000となり、給与収入が11,833,333円にすると所得税の税率が20%におさまることになります。
毎月100万円近くの金額に役員報酬を設定しても、所得税の税率が20%におさまるんだぁ、と思いませんか?
税金の負担のことを考えて役員報酬を設定する場合に、所得控除の額を把握することは必須要件です。自分の所得控除の額をすぐに言える人も少ないと思いますが、役員報酬を決める際は所得控除の額を計算するようにしましょう。
【編集後記】
昨日は、八街市にある真行寺ブルーベリー園でブルーベリー狩りをしてきました。ここは去年に続いて2回目です。去年はここで苗を2つ買って、現在は庭に植えています。今年はまだ収穫できるほど熟していませんが、少し実がついています。
アイキャッチ画像が昨日のブルーベリー狩りのときの写真ですが、全体的に少し早かったみたいです。それでも結構な量のブルーベリーを食べてきました。