今回は、会社を辞めて個人事業主として独立したときのお話です。
住民税は前年分の所得をもとに計算される
会社で働いているときの住民税は給与から毎月天引きされます。1年分の住民税の額を1/12した金額が毎月天引きされるので、負担感はあまり大きくないかもしれません。
住民税の計算については過去記事を参考にしてください。
「給与収入の場合の住民税の計算」
しかし、会社を辞めて個人事業主として独立すると、自分で住民税を納めることになります。
住民税は前年の所得に基づいて計算されます。サラリーマン時代に高収入だった人は独立1年目の住民税の額が大きくなりますので、負担は大きいです。
会社を辞める時期によって負担感は変わる
住民税の天引きは、6月から翌年5月にかけて行われます。
例えば、2016年5月に会社を辞めて独立すると、2015年度の所得に基づいて計算された2016年度の住民税は1度も天引きされていない状態で会社を辞めることになります。
2015年は1年まるまる会社からの給与収入がありますので、住民税もそれなりの金額になります。
更に、個人事業主の場合は、1年分の住民税を6月,8月,10月,翌年1月の4回に分けて住民税を納付します。納付時期もサラリーマンより早くなり、1度に納める金額もサラリーマンより大きくなるのです。
もちろん、納付する住民税の合計額はどちらも同じなのですが、負担感は個人事業主の方が大きくなります。独立してすぐに売上があがらない場合などは要注意です。
翌年度の住民税は、約半年分の給与収入と売上が少ない1年目の事業所得をもとに計算されますので、負担は少なくなるでしょう。
2016年12月に会社を辞めた場合は、7か月分の住民税は天引きされて納付済みです。あと5か月分を納付すればいいのですが、最後の納期が1月の1回だけですから、これを1回で納付しなければいけません。更に、2017年度の住民税は、2016年まるまる1年分の給与収入をもとに計算されるので、2年目の住民税の金額も負担が大きくなります。
国民健康保険料も前年の所得によって計算される
会社を辞めたら、一般的には健康保険から国民健康保険に切り替えます。この国民健康保険料も前年の所得をもとに計算されますので、個人事業主として独立1年目は負担が大きくなります。
健康保険については、任意継続という制度もありますので、国民健康保険とどちらが有利になるか検討してみましょう。
国民健康保険料は、市町村によって計算方法が異なりますので、ご自身のお住まいになっている市町村のホームページなどで、計算方法を確認してみましょう。
国民年金保険料は、2016年度は月16,260円です。年間で195,120円にもなりますので、こちらの負担も忘れないようにしましょう。国民年金については、口座振替で前納することによって割引される制度がありますので、資金に余裕があるならば、是非利用しましょう。
2年前納で15,690円も割引されます。
ただし、独立当初は何かとお金が必要になりますので、資金に余裕がないときは無理して前納しないようにしましょう。資金がショートすることは避けなければいけません。
独立1年目は独立の準備にお金がかかる上に、住民税や社会保険料の負担も大きくなりがちです。資金がショートしないように、事前に十分確認するように注意しましょう。