損益計算書は、一定期間の経営成績を現すのに対し、貸借対照表は、一定時点における資産、負債、純資産の状態を現します。
損益計算書は、期間ごとに区切られるので、基本的には過去の損益は影響しません。
過去にどれだけ利益が出ていようが、どれだけ損失が出ていようが、当期の損益計算書には過去の数字は現れません。
しかし、貸借対照表には、会社設立時からの資産や負債、純資産がすべて載ってきます。
既にない資産や負債が載っていないか
貸借対照表には過去の資産もすべて載っていると書きました。
設立から10年もすると、貸借対照表によくわからないものが載っているということもあるのではないでしょうか。
少なくても、毎年一度決算のときに、全ての資産や負債を確認すべきですが、存在自体を忘れていたり、取り扱いが不明だったり、はっきりしないものはついつい放置しがちです。
例えば、以下のようなものはないでしょうか。
・倒産はしていないけれど、回収の見込みがなく放置している売掛金
・立替金、未収金、仮払金などで、内容が不明で放置されているもの
・すでにない固定資産
・価値がなくなっているゴルフ会員権など
・帳簿上だけの現金
一つずつ見ていきます。
1.倒産はしていないけれど、回収の見込みがなく放置している売掛金
売掛金は回収の可能性が低くても、貸倒処理してしまうと、負けたような気がします。
せっかく仕事をしたのに、お金をもらえないというのは悔しいものです。
回収をあきらめてはいないということで、ほぼ回収の見込みがない売掛金がずっと残っていることがあります。
これを放置しておくと、貸倒損失が経費に認められないということにもなりかねません。
いつかは回収できるかもしれないと思って、とりあえず放置しておくことはやめましょう。
貸倒損失の要件を満たしたら、貸倒損失として計上してしまいましょう。
回収されることもほとんどないと思います。
もし、後になって回収した場合は、そのように処理をすれば問題ありません。
2.立替金、未収金、仮払金などで、内容が不明で放置されているもの
立替金、未収金、仮払金などは、金額が細かいときちんと合わなくなり、もはや残っている原因がわからなくなってしまいます。
もし、少額の金額が何年も前から残っているようであれば、貸借対照表から外す処理をしましょう。
少額であれば、経費処理をしてしまっても、問題はないと思います。
3.すでにない固定資産
固定資産は、除却したときに経理処理をしないと、そのまま残りがちです。
特に、現場の人と経理の人が別の場合は、残ってしまいやすいです。
経理の人は、固定資産の現物を見たことがないということもよくあるからです。
4.価値がなくなっているゴルフ会員権など
20年以上続いている会社だと、ゴルフ会員権や、リゾート会員権なども、貸借対照表でよくみかけることがあります。
中には、倒産してしまっているところもありますので、使っていないゴルフ会員権やリゾート会員権も確認するようにしましょう。
使っていないのであれば、損失になったとしても、処分してしまった方がいいのではないでしょうか。
5.帳簿上だけの現金
もし、帳簿上だけの現金が多くあるようでしたら、原因を確実に把握するようにしましょう。
少額であれば、何かの記帳ミスかもしれません。
しかし、金額が大きい場合は、大きな問題が発生しているといっていいでしょう。
経費が漏れている可能性がありますし、社長が会社のお金をプライベートで使っているのかもしれません。
もしかしたら、従業員が不正をしているかもしれません。
いずれにしても、原因をはっきりさせましょう。
原因がわからないと、今後も帳簿上だけの現金が増え続けてしまうかもしれません。
帳簿上だけの多額の現金は税務上のリスクもありますので、要注意です。
時価との差額があるものも把握する
貸借対照表が真実を現さない理由は、すでにない資産が載っているだけではありません。
資産はあるけれども、時価との差額が大きいものがあります。
土地がいい例でしょう。
20年から30年くらい前に買った土地が、現在では1/2から1/3程度の価値になってしまっていることはよくあります。
貸借対照表に1億円で載っている土地の時価が5,000万円である場合は、そのことを把握して貸借対照表を見なければいけません。
もし、今解散したとしたら、土地は5,000万円にしかならないのです。
会社が40年以上続いている場合は、その逆も考えられます。
5,000万円で載っている土地の時価が1億円ということもあるでしょう。
いずれにしても、貸借対照表の数字と、時価が大きくずれている場合は、何がどのくらいずれているかを把握し、時価ベースでの貸借対照表を作成してみるのもいいでしょう。
社長借入金の存在
小規模企業では、社長借入金の存在も忘れることはできません。
小規模企業の中には、貸借対照表に載っている数字の中で、社長借入金の数字が一番大きいという会社も少なくはないでしょう。
社長借入金が膨らんでしまう理由は、会社のお金がないときに、社長が個人のお金を会社に貸すからです。
その後、会社にお金があるときに借入金を返済すればいいのですが、返済しない場合も多いです。
そもそも、会社にお金の余裕があるときがないということも珍しくありません。
毎年数十万くらいずつでも、10年20年と続けば、数千万円単位にもなりかねません。
事実、数千万円の社長借入金が貸借対照表に載っていることはよくあります。
会社にお金があればいいのですが、会社にお金がない場合は返済のメドがたちません。
会社が返済できないとなれば、最後は社長が債務免除をするしかありません。
このお金は、通常役員報酬として支払われたお金です。
ということは、そのときに所得税が発生しています。
結果として、税務上は不利な処理と言えるでしょう。
もちろん、最初から債務免除益を計上することを考えている人はいませんが、最後はそうなるかもしれないのです。
社長借入金が膨らんでいて返済のメドがたっていない会社は、社長の役員報酬を減額して、借入金を返済することを優先したほうがいいでしょう。
社長借入金については、社長に万が一のことがあったときに、相続財産になることも忘れてはいけません。
金額が大きくなりがちな社長借入金ですが、れっきとした社長個人のお金ですから、最後になくしてしまうことのないように管理しましょう。
まとめ
貸借対照表には、設立からの会社の資産や負債、純資産が載っています。
設立からのものが載っているだけに、内容が不明なものや時価とかけ離れているものが載っていることもあります。
貸借対照表が真実の姿を表してないのであれば、自己資本比率などの数字も、真実の姿を現さなくなります。
現にない資産や負債は正しい処理をすることによって、貸借対照表から外してしまいましょう。
土地の場合の時価との差額は会計ルールの問題でしょうがないのですが、そういう差額があるということを把握したうえで、貸借対照表を見るようにしましょう。
【編集後記】
千葉ロッテマリーンズが、まさかの開幕3連敗と、最悪のスタートを切りました。
今日は、ZOZOマリンスタジアムでホーム開幕戦です。
少し早めに仕事を切り上げて観戦に行ってきます。今季初白星を期待します。
今日の体重 74.8kg(ダイエット開始から△1.7kg) お腹周り 92cm(ダイエット開始から△4cm)