個人事業主やフリーランスの人は、節税になると思って、配偶者を専従者にして、専従者給与を支払っている人も多いでしょう。
「配偶者を専従者にして給与を支払うと節税になるよ」ということはよく聞きます。
確かに節税になるのですが、その方法が一番いいかどうかは人それぞれです。
配偶者に専従者給与を支払うと、節税になる理由
前提として、夫が個人事業主で、妻は夫の仕事の事務や経理を多少手伝っているということにします。
つまり、妻は夫の仕事の売上には直接貢献せずに、事務や経理を通じて仕事を手伝っている状況です。
そして、妻が働く時間はそれほど長くはないとします。
こういうケースはよくあるケースだと思います。
配偶者に給与を支払わない場合は、個人事業主は配偶者控除を受けることができます。
所得税の配偶者控除の金額は38万円、住民税の配偶者控除の金額は33万円です。
所得税の税率が20%、住民税の税率が10%とすると、所得税と住民税が合わせて109,000円減少します。
対して、配偶者に配偶者自身の所得税や住民税がかからない年100万円の専従者給与を支払ったとします。(市町村によっては、100万円の給与でも、住民税がかかることがあります。)
この場合は、所得税と住民税の税率が先ほどと同じだとすると、30万円の所得税と住民税が減少します。
配偶者に専従者給与を支払った場合は、配偶者控除を受けることができません。
専従者給与を支払わないで配偶者控除を受けるよりも、専従者給与を支払った方が節税効果が高いことがわかります。
配偶者控除の金額である38万円よりも多い金額の専従者給与を支払えば、専従者給与を支払った方が節税効果が高くなるのです。
配偶者が外で働いて100万円稼いだら
では、配偶者が、夫の事業の事務や経理をやりつつ、あるいは事務や経理は夫に任せて、外で働いて年100万円の給与を稼いだ場合はどうでしょうか。
配偶者の給与収入が103万円以下ですから、夫は配偶者控除を受けることができます。
節税効果は、先ほどと同じく所得税の税率を20%、住民税の税率を10%とすると、109,000円です。
節税効果だけを見ると、専従者給与を支払ったほうがいいように思いますが、妻には税金のかからない収入100万円があります。
家計の収支でみれば、節税効果の109,000円と、配偶者の給与収入100万円を合わせて1,109,000円のプラスになるのです。
専従者給与を支払った時の30万円の節税効果よりも、家計に与える収支はとても大きくなります。
もちろん、前提として、妻は夫の事業の売上には直接影響を与える仕事はしていなかったという条件がつきますが。
夫は自分で事務や経理をやることになり、多少の負担は増えますし、妻も、外で働くので、多少大変にはなります。
それでも、家計の収支を考えて、外で働いた方がいいケースは多いと思います。
配偶者が仕事にやりがいを感じ、もっと稼ぐようになることもあります。
そうなれば、家計の収支はさらに改善します。
まとめ
個人事業主やフリーランスの人は、つい自分の税金を減らすことを考えがちですが、配偶者やその他の親族も含めて、一家の収支がプラスになることを考えるのが合理的です。
配偶者に専従者給与を支払えば、確かに節税にはなります。
しかし、配偶者が外で働いて収入を得れば、節税効果以上の収入をもたらします。
子供が小さくて、妻は外で働けないとか、夫の仕事を手伝わなくては夫の仕事が回らないとか、妻が外で働けない事情があれば、仕方がありません。
しかし、そうでないならば、配偶者も外で働いて収入を得た方がいいのではないでしょうか。
配偶者のことを考えても、働いておいたほうが色々といいこともあります。
キャリアアップもするかもしれないですし、社会との繋がりもできます。
場合によっては、夫の仕事が上手くいかなくなることも考えられます。
そういうときに、妻が外から収入を得ていれば、家計の支えにもなります。
何となく節税になるという理由で、配偶者に専従者給与を支払っている個人事業主やフリーランスの人がいるとしたら、配偶者が外で働くことも考えてみた方がいいでしょう。
もしかしたら、配偶者は外で働きたいと思っているかもしれません。
個人事業主やフリーランスではなく、一人社長の場合は、社会保険のことを考える必要があります。
それについては、近いうちに記事にしようと思います。
【編集後期】
庭に植えたジャガイモが芽をだし、庭の桃の花も咲き、家から見える桜も咲き始めました。
暖かくなりましたね。
週末にお花見に行きたいのですが、晴れてくれるといいな。
今日の体重 74.9kg (ダイエット開始から△1.6kg) お腹周り 92cm(ダイエット開始から△4cm)