一般の人が間違いやすい確定申告に関する誤解

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今年の確定申告の無料相談会は3日間参加する予定でしたが、その3日間が終わりました。

無料相談会に来られる方は、税金に関して詳しくない人が多いので、こちらとしても新たな発見があったりします。

そこで、今回は一般の人が間違いやすい確定申告に関する誤解について書いてみます。

医療費控除は支払った医療費の一部が返ってくるという誤解

やはり一番多い誤解が、医療費控除でしょう。

医療費控除は、支払った医療費の一部が戻ってくるのではありません。

支払った医療費の一部が戻ってくるものに、高額療養費制度がありますが、所得税の医療費控除は、そうではありません。

医療費を一定金額以上支払うと、所得税が安くなります。

例えば、年末調整をした人の2018年の所得税額が10万円だったとします。

この人は、すでに10万円の所得税を支払っています。

本人は支払ったという認識がなかったとしても、毎月の給与から天引きされて支払っています。

そのうえで医療費控除を受けるために確定申告をします。

医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。

その結果、2018年の所得税が8万円になったとします。

本来8万円支払えばいいはずの所得税を10万円支払っていたのですから、支払い過ぎていた2万円が戻ってきます。

戻ってくるのは、医療費の一部ではなくて、支払い過ぎていた所得税の一部あるいは全部です。

ここでポイントとなるのが、すでに支払っていた所得税があるかどうかです。

すでに支払っていた所得税がない場合は、戻ってくるものがありません。

給与や年金をもらっている人は、源泉徴収票をみて、源泉徴収税額の欄を確認してみましょう。

ここに数字が入っていたら、戻ってくる可能性があります。

その場合でも、源泉徴収税額の欄の金額の範囲内でしか戻ってきません。

給与や年金の天引き以外で何らかの方法ですでに所得税を支払っている場合を除きます。

給与以外の所得が20万円以下なら、住民税の確定申告もしなくて良いという誤解

これも誤解をしている人が多い間違いです。

所得税は、給与所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告不要になります(不要にならないケースもあります)。

しかし、住民税にはその制度はありません。

ですから、給与所得以外に少しでも所得があれば、確定申告をする必要があります。

国税庁が、確定申告不要という際に、住民税の申告は必要です、と言ってくれればいいのですが、そうは言わないため、住民税の申告も不要と思っている人が多いです。

そもそも、住民税の申告を単独でしている人はごくわずかしかいません。

多くの人は、所得税の確定申告をします。

所得税の確定申告をすると、住民税の申告もしたことになるので、住民税の申告をしていると認識している人はほとんどいません。

このことが、誤解を招いている原因だと思います。

他に原因を上げるとすると、みなさん自分にとって都合の良いことが調べるけれど、都合の悪いことは調べません。

ですから、所得税の申告不要は目についても、住民税の申告は必要ということには目がいかないのだと思います。

個人的には、この誤解を解くには、地方自治体がもっとアピールするか、所得税と申告不要の足並みをそろえる必要があると思っています。

都合の良いことだけということで言うと、給与以外の所得が10万円で所得税の確定申告不要だと思っている人が、医療費控除やふるさと納税を受けるために確定申告をするとします。

この場合には、給与以外の所得10万円も含めて申告することになりますので、この点にも注意が必要です。

確定申告をすると還付になるという誤解

根拠はないけれど、確定申告をするとお金が戻ってくると思っている人もいます。

何日か前のブログでも書きましたが、公的年金と給与の両方を一定金額以上もらっている人は、確定申告をすることによって納付になることが多いです。

毎年納付している人はわかっているのですが、年金をもらって1年目の人などは、還付になると思って確定申告したのに、納付になってびっくりされることが多いです。

年金で源泉徴収される所得税は、年金の分だけで計算し、給与から源泉徴収される所得税も、給与の分だけで計算しています。

所得税は、給与も年金も合算して計算しますので、源泉徴収された金額では足りなくなってしまうのです。

確定申告をすれば税金が戻ってくるという訳ではありません。

医療費控除は医療費を10万円以上支払っていないと受けられないという誤解

これもよくある誤解ですね。

確かに、総所得金額が200万円以上の人は、医療費を10万円以上支払っていないと医療費控除を受けることができません。

しかし、総所得金額が200万円未満の人であれば、10万円未満の医療費でも、医療費控除を受けられる可能性があります。

ちなみに、収入が給与のみの人の場合、給与の額面金額(源泉徴収票の支払金額の数字)が約311万円くらいで、総所得金額が200万円くらいになります。

まとめ

今回書いた誤解は、確定申告の無料相談会に行くと、必ずと言っていいほど遭遇する誤解です。

誤解をして怖いのは、損をした気分になることです。

本来支払わなくてはいけないものを支払うということなのに、損をしたと思ってしまうのです。

税金について調べる際は、自分にとって有利な情報だけではなく、自分にとって不利な情報でも、自分に関係していそうな情報は取り入れるようにしましょう。

また、わからないのであれば、事前に過度な期待を抱くのは控えるようにしましょう。

【編集後記】

そういえば、今年の無料相談会でもセルフメディケーション税制を一つもやりませんでした。

もはや、プレミアムフライデーのような存在になっているような気がします。

今日、モスバーガーに行くとアイキャッチ画像の看板がありました。

自分と同い年なので、愛着を感じます。


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。