投資信託の特別分配金がわからない人は注意

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5月2日の日経新聞に、「投信分配金 最高に」という記事がありましたので、分配金について書いてみます。

投資信託の分配金とは

(一社)投資信託協会のホームページによると、以下のように書いてあります。

「分配金は、投資信託が株式や債券に対して投資し、運用して得た収益を、保有口数に応じて投資家に分配するものです。
分配金は、投資信託の信託財産から支払われます。そのため、分配金が支払われると、純資産総額および基準価額は下落します。」

前段部分は、運用をして得た利益を投資家に分配するということですから、多くの人がイメージする通りだと思います。

しかし、後段部分の純資産総額および基準価額は下落するということがすっかり頭から抜け落ちている人も多いので注意が必要です。

分配金の種類

分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類があります。普通分配金は運用の収益から払い出される分配金で、分配金に対して20.315%の税金がかかります。

特別分配金には注意が必要です。特別分配金は単なる元本の払い出しです。元本の払い出しですから、税金はかかりません。

今回の日経新聞の記事では、低金利だから高い分配金を出す投資信託が人気と書いてあります。その分配金が普通分配金ならいいのですが、特別分配金であれば、元本を払い出しているだけなので、低金利うんぬんとは関係なくなってしまいます。

普通分配金か特別分配金かは人によって変わります。基準価額の低いときに買って利益が出ている人は普通分配金になりますが、基準価額の高いときに買って損をしている人は特別分配金になります。つまり、人によって変わりますので、自分がもらった分配金が普通分配金なのか特別分配金なのかは、しっかり確認する必要があります。

低金利だからといって、元本を払い出してもらうのなら最初から投資信託を買う必要ないですよね。

2014年12月から「投資信託のトータルリターン通知制度」が始まっていますので、自分が所有している投資信託のトータルリターンが見られるようになっていると思います。ぜひ確認するようにしてください。

分配金は、長期投資には向かない

毎月コツコツとつみたてて資産形成する人は、長期間にわたって資産形成を行います。このときに普通分配金をもらうと、分配金に対して20.315%の税金がかかりますので、それを再投資したとしても投資効率が落ちてしまいます。特別分配金であれば、税金はかかりませんが、再投資する手間も発生しますし、購入手数料がかかるものもあります。そもそも普通分配金になるか特別分配金になるかは自分で選べませんので、長期投資家にとっては分配金は本来嬉しくないものです。

分配金を出すかどうかは運用会社が決めますが、コツコツつみたてる長期投資家は過去の実績を見てなるべく分配金を出していない投資信託をつみたてていくのがいいと思います。

今回の日経新聞の記事に例として取り上げられていた投資信託は、フィデリティ投信の「USリート・ファンドB」というものでした。年間で1万口あたり1,200円の分配金を払い戻したと書かれています。

では、1年間の基準価額の動きはどうだったのでしょうか。運用報告書によると、2015年3月15日の基準価額が6,044円で、2016年3月15日の基準価額が5,215円です。基準価額が、829円下がっています。1年間に1,200円をもらったからといって、1,200円儲かったわけではないのです。

毎月分配金をもらえると嬉しい気持ちはわかりますが、少なくとも自分が儲かっているのか損をしているのかは把握しておいたほうがいいです。

ちなみに、この「USリート・ファンドB」は、楽天証券で購入すると購入手数料が、2.16%かかり、野村証券で購入すると購入手数料が3.24%かかるみたいです。損益を考えるときはこの購入手数料も入れて考えるようにしましょう。

【編集後記】
アイキャッチ画像のイチゴは、初めて我が家の家庭菜園で採れたイチゴです。たった1粒ですが、自分の庭で採れたイチゴの味は最高です。

千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。