在庫の計上もれは、即追徴につながる
税務調査の際に在庫の計上漏れを指摘されると、即追徴につながってしまいます。
普段は在庫管理をしないで、決算のときにだけ在庫を計上する場合は特に漏れが発生しやすいでしょう。商品は仕入れたときに費用科目で処理され、決算で在庫に計上することによって当期の経費から外れ、翌期以降の経費に計上されることになります。在庫に計上しなければ、当期の経費に計上されて当期の利益がその分少なくなってしまうのです。
3月決算の会社の場合、申告は5月にしますので、5月になって3月末の在庫を数えることも多いと思います。しかし、5月に在庫を数えているようでは、すでにないものも多いので在庫の計上漏れが発生しやすくなります。決算日である3月31日に在庫を数えるようにしましょう。
商品が自社に入ってこないで、直接仕入れ先から売上げ先に納品されるような場合は要注意です。自社には在庫がないわけですから、特に計上漏れが発生しやすくなります。
資金繰りにも影響する
在庫管理が甘ければ、常に在庫過剰になることもあり、無駄な仕入れが発生することもあります。そうなれば、資金繰りにも影響してしまいます。仕入れる必要がないのに仕入れてしまったり、廃棄損が発生したりしてしまいます。
会社の損益も歪んでしまう
在庫の管理を決算のときにしか把握しない場合は、期中の月次の損益も歪んでしまいます。期中の損益を正確に把握したい場合は、毎月在庫の計上をするようにしましょう。
毎月在庫の管理をすることによって、不良在庫なども発生しにくくなるでしょう。
しかし、毎月の在庫の額がだいたい一定だという会社であれば、在庫を毎月計上しなくても大きな影響はないでしょう。逆に業務の効率化という観点から、毎月はやらないほうがいいという場合もあります。
最後に気をつけたいのは、利益を出すために在庫を過大に計上する、つまり粉飾です。在庫を過大に計上すれば利益が出ますから、本来は赤字のところを黒字にするために在庫を過大計上することがあります。
在庫の過大計上は税金を多く支払うことになりますから、税務署はあまり追求しません。しかし、過大に計上した分は翌期以降の経費になりますので、翌期がマイナスのスタートになります。また、在庫の過大計上が多ければ、貸借対照表にも実際にはない資産が計上されることになります。
これが恒常化してしまうと、もはや本来の損益や資産状況がわからなくなってしまいます。
在庫管理ができないということは、悪いことでしかありません。普段から在庫を適正に把握して、会社の損益や、資産状況の改善に努めましょう。