税理士試験の受験者数が減少しているだけでなく、税理士をめざす目的も変化してきているようです。
税理士試験の受験者数の推移
国税庁のホームページによると、税理士試験の受験者数は以下のように推移しています。
平成22年 51,468人
平成23年 49,510人
平成24年 48,123人
平成25年 45,337人
平成26年 41,031人
平成27年 38,175人
毎年減り続けていますが、6年間で25.8%も減少しています。人数にすると、13,293人も減っているのです。
現役の税理士からすると、寂しい気もしますが、なぜこんなに減少しているのでしょうか。
単純に税理士は稼げない、魅力がないと思われている
人口が減少していることが原因のひとつでしょう。絶対数が減れば、受験者数も減少するのは当たり前のことです。ただし、人口の減少以上に受験者数は減っていると思います。だとすると、単純に税理士は稼げない、魅力がないと思われているのかもしれません。税理士の資格をとっても稼げないという情報もよく目にするようになりました。
税理士試験は3年で合格すれば早いほう、働きながらの受験では10年近くかかることも珍しくありません。わたしは仕事をしてからは勉強が思うようにできず、受験しなかった年もあったため、合格までに15年ほどかかりました。
合格までに15年かかる人は少ないとして、大変な想いをして合格してもそれに見合う収入が得られないということです。これは税理士に限ったことではないのですが、現在は資格を取ったからといってある程度の収入が保証されるという時代ではありません。資格を取って高い収入が保証されるのは医者くらいかもしれません。
単純に安定した高収入をめざすなら大企業に入ってそれなりに出世をめざしたほうが可能性が高いと思います。好き嫌いはあると思いますが。
独立をめざす人も減っている?
わたしが税理士を目指すようになったのは、もう20年くらい前のことです。当時は、税理士をめざす=独立をめざすという感じだったと思います。わたしも独立しやすい資格として税理士をめざしました。今でも、弁護士や司法書士、公認会計士、社会保険労務士、行政書士といった資格の中で一番独立しやすい資格ということに変わりはないように思います。
しかし、わたしの場合は会計事務所に就職してからは独立するという気持ちに変化がありました。時代が変わってきたということもありました。税理士法人の設立が可能になったのです。今では多くの税理士法人が設立され、税理士も顧客も大きな税理士法人に集中するようになりました。個人の税理士事務所にとっては厳しい時代になったのです。
そういう時代の流れの中で、最近では税理士をめざす人は最初から独立を考えていない人も多いみたいです。時代は変わったんだなぁと思います。
では勤務税理士は収入や条件面で、大変な想いをしてでも目指したいものなのでしょうか。勤務税理士をめざす人が、資格があれば安定してそれなりの収入を得られると思っているのであれば、ノーでしょう。税理士にしろ普通の会社にしろ、高い収入を得ようと思ったら大変なものです。そういう点では資格があるとかないとか関係ありません。
そこを勘違いしていると、いざ働き始めてからこんなはずじゃなかったと思うようになります。
しかし、大きな税理士法人で働く税理士でそれなりに高い収入を得ている税理士も多くいると思います。税理士にとって独立することしか道がなかった時代よりも選択肢が増えたという言い方もできるのではないでしょうか。独立するしないにかかわらず、高い収入を得るには税理士になってからの働き(頑張り)次第なのです。
わたし自身は収入だけではなく、働き方にこだわっています。働き方にこだわるために税理士という資格は持っていて良かったです。
今後も税理士試験の受験者数は減少していくかもしれません。
しかし、税理士という資格を持っていれば資格がない人よりは働き方を選ぶことができます。そういう意味では税理士という資格は今でもめざす意味はあるのではないかと思います。