金融庁の税制改正要望項目を、NISAや確定拠出年金など資産形成の点からみてみる

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平成28年8月31日に金融庁のホームページ上で、「平成29年度税制改正要望項目」が発表されました。税制改正要望項目ですが、今回は資産形成の点からみていきます。

「積立NISA」の創設

活力ある資本市場と家計の安定的な資産形成の実現として、「積立NISA」の創設を要望しています。

積立NISAについては、過去の記事でも取り上げています。

「NISAの非課税期間が20年に。長期のつみたて枠を」
「NISAの非課税期間が長期になることでつみたて投資がますます重要になる」

今回の改正要望事項は、以下のように書かれています。

・年間投資上限額:60万円、非課税期間:20年間
・長期・分散投資に適した一定の投資商品に限定
・定期・定額での投資(積立投資)に限定
・恒久措置として導入

1つ目の投資上限金額と非課税期間については、以前の記事で書いていますので、上記の過去記事のリンクを参考にしてください。

2つ目の一定商品の例として、バランス型ファンド、非毎月分配型ファンド等があげられています。

投資対象商品をそんなに絞らないでもいいのではないかと思います。具体例としてあげている商品もイマイチピンときません。バランスファンドを購入する人ももちろんいるでしょうけど、自分で資産配分を決めて、それぞれの資産クラスの投資信託をつみたてたいという人も多いでしょう。

ここで、バランスファンドや非毎月分配型ファンドとわざわざ書いているのは、投資初心者の方や高齢者の方がわかりやすいようにとの配慮だとは思います。それでも現在のNISAと同じ投資対象で問題ないのではと思ってしまいます。

3つ目で定期・定額での投資に限定とあります。ずいぶんとつみたてにこだわるなぁ、という印象です。年間投資上限60万円、非課税期間20年の範囲内で自分で判断して投資するのではなく、つみたて限定です。

この2つ目、3つ目については、自由度が少ない気がします。

1つ目に非課税期間20年とあるのに、4つ目には恒久措置として導入とあります。これは段階を踏んで恒久措置とするということでしょうか。恒久措置はもちろん大歓迎ですので、段階を踏まずに恒久措置になればいいなと思います。

他に、現行のNISAについての対応も書いてあります。1つ目は、5年間の非課税期間が終わって、ロールオーバーするときに時価が上がって年間の上限額を超えていても、ロールオーバーを可能にすることです。

2つ目は、5年間の非課税期間が終わったときに時価が下がっていた場合でも、そもそもの取得価額を引き継ぐというものです。

この2点は、いい改正だと思いますので、実現して欲しいです。

企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃

特別法人税について触れている過去の記事はこちら

「ひとり社長なら退職金の準備をしよう!」

この特別法人税は、平成11年度から凍結されているので、個人型確定拠出年金では一度も課税されたことがありません。実際に課税されていないので、このブログでも1度しか触れていませんでした。

しかし、この特別法人税は、積立金に対して毎年1.173%の税金が課税されるものです。個人型確定拠出年金で自分がつみたてた資産に対して毎年課税されるので、実際に課税されたら、影響はすごく大きいものになります。年数がたって資産額が多くなればなるほど、影響が大きくなるのです。

実際に課税されていなかったとはいえ、特別法人税の存在が気持ちの悪いものでしたので、以前から早く撤廃して欲しいと思っていました。

NISAの改正もいいのですが、特別法人税の撤廃を強く望みます。

資産形成を長期で考える人にはいい方向に向かう期待が持てる

このブログでは、資産形成について、「長期」「分散」「低コスト」をキーワードにつみたて投資を進めています。

過去記事はこちら
「つみたて投資のすすめ」

今回の金融庁の税制改正要望項目は、長期の資産形成にとって、プラスの項目が多く掲げられています。

長期のつみたてで資産形成をする人にとって、良い環境が整うように、この要望が少しでも多く実現することを期待します。

千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。