わたしは地域密着型の税理士事務所を経営しています。
税理士事務所には色々な事務所があります。
一人の事務所、人がたくさんいる事務所(人はたくさんいても税理士は1人という事務所もあります)、業種に特化している事務所、地域密着型の事務所、地域に関係なく営業している事務所、拡大を目指す事務所、拡大を目指さない事務所、とにかく色々あります。
わたしの事務所は、地域密着型で、拡大を目指さない事務所です。
今日は、地域密着型で拡大を目指さない税理士事務所を経営しているわたしが、どんなことを考えているかということについて書いてみます。
勤務時代
わたしは、税理士事務所を5カ所経験しています。
人数でいえば、5人の事務所から150人の事務所まで経験しました。
拡大を目指す事務所が多かったですが、中には拡大を目指していない事務所もありました。
特にうたってはいませんでしたが、地域密着型の事務所が多く、移動時間は1時間以内ということがほとんどでした。
特化型の事務所も1カ所ありましたが、わたしはその事務所の中で特化した部門ではなかったため、業種に特化して仕事をしたことはありません。
お客様の規模は、従業員10人未満の会社が8割以上を占めていたと思います。
税理士事務所では、14年間働きましたが、そのうちの10年以上は担当者としてお客様と接していました。
多い時では、40件ほどの担当を持っていましたので、担当者として、トータルで数百件のお客様と接してきたことになります。
最後の方の数年間は担当を持たずに、営業や決算打合せ、管理業務などを主に行っていました。
担当を持たない代わりに、年に100人を超える経営者の方と決算打合せを行い、年に数十件の営業や会社設立に携わってきました。
14年間の勤務時代を通じて、個人事業主や小規模企業向けの税理士事務所の業務をずっと行ってきたということです。
この経験が今に繋がっています。
普通に業務を行っていれば、地域密着になる
税理士事務所の場合、お客様は近くの税理士を探すことが圧倒的に多いため、普通に営業を行っていれば、地域密着になります。
地域密着といった場合に、移動時間で何分までとか、何kmまでが地域なのかといった疑問はあります。
わたしの考えでは、移動時間1時間以内くらいが地域かなと思っています。
おそらく、多くの税理士事務所のお客様が移動時間1時間以内なのではないでしょうか。
こう考えると、「地域密着って何?」という気持ちにもなります。
しかし、地域密着には、距離が近いということの他にも意味があると思っています。
町の税理士
ブログのタイトルでは、「町の税理士」という言葉を使っています。
町の税理士とは、町医者をイメージしています。
町医者である以上、色々な患者さんがやってくると思います。
税理士事務所も同じで、町の税理士である以上、色々なお客様が来られます。
この色々なお客様がいるということも、地域密着の要素と言っていいのではないでしょうか。
例えば、ここ2ヶ月くらいの新規案件では、以下のようなものがありました。
・法人設立相談から顧問契約になった案件
・前の税理士が高齢で引退するので税理士変更になった案件
・個人事業主で税務調査が入ることになったので立ち会って欲しいという案件
・外国法人の日本支店の顧問契約の案件
・飲食店の確定申告の案件
・他士業の方の確定申告の案件
・勤務先から独立して個人事業を開始する案件
見て頂いてもわかる通り、色々な案件が入ります。
上記は、全て受注した案件です。
町の税理士だからこそ、色々な案件が入り、基本的には受注する方向で考えています。
税理士にもよると思いますが、わたしは色々な案件があった方が面白いと思いますし、やりがいも感じます。
ですから、業種特化はやりませんし、入り口も広めにとっています。
お客様の年齢層も20代の方から60代の方までいらっしゃいます。
税理士の中には、入り口を狭めている人もいます。
もちろん、どっちが良いとか悪いとかの話ではありません。
わたしは、好きで入口を広めにとっていますし、色々な案件を受注しています。
何かに特化した方が目立ちますし、問い合わせが来やすいという一面もあるでしょう。
しかし、税理士の場合、近くの税理士を探すことが圧倒的に多いです。
近くの税理士がだいたいやってくれるのであれば、そっちの方がいいという人も多いでしょう。
実際に、地域密着をうたい、町の税理士を名乗っていますが、それなりにお問い合わせを頂いています。
「何でもやりますは何もできない」とか、「何かに特化した方がいい」という意見も多いと思います。
しかし、税理士業の場合、そうとも言えないと思っています。
自分の好きな業務に特化するのであれば良いのですが、好きでもないけど、ただ目立つため、売上のために特化をするのは長い目で見るときついかなと思います。
それでも、ミスマッチは避ける
入口を広くして、色々な案件をやると言ってもミスマッチは避けています。
最近で受注にならなかった案件は2件あり、2件とも価格が合いませんでした。
2件とも、わたしが決めている価格よりもだいぶ安い金額を希望していました。
1件は、いつも通り、ホームページにも載せている価格表の通りに説明をしたら、お客様の方から別の税理士を探すとおっしゃいましたし、もう1件はこちらからお断りしました。
入口を狭めれば、こういった案件はそもそも来なくなり、お互いにとって無駄な時間を削ることができるかもしれません。
しかし、今のところ、毎日のように案件がある訳ではありませんし、決めている価格を説明するだけですから、そこまで時間をとられることもありません。
実際に、その2件の案件にかかった時間は、合わせても5分程度(1件は電話、もう1件はメールで対応)です。
まとめ
今日はゴールデンウィークの真ん中ということもあって、いつもとは違った感じのことを書いてみました。
税理士事務所に限らず、色々な考え方があって、色々なやり方があっていいと思います。
自分がいいと思えるものに力を入れればいいのです。
わたしの場合、たまたまそれが、地域密着型の町の税理士だったということでしょう。
今後も、町の税理士として、自分のいいと思ったこと、やりたいことをしていきたいと思います。
【編集後記】
独立をする前に色々な経験をした方がいいと言っているように思えるかもしれませんが、わたしの場合、たまたまそうなったというだけです。
勤務時代に色々経験した分、時間は過ぎ去り、独立をしたときには44歳になっていました。
30前後で独立をしている人を見ると羨ましく思います。
ない物ねだりをしてもしょうがないので、自分にとっていいと思える道を進むしかありません。
正直、経験よりも若さの方が強いかなとは思います。
時間が経てば経験を詰むことはできますが、若い時に戻ることはできませんから。