「僕がワイナリーをつくった理由」という本を読みました。
なぜ、この本を読んだかというのは近いうちにまた書こうと思いますが、この本を読んで共感できる点が多かったので記事を書くことにしました。
この本が書かれたのは2009年です。
著者の落希一郎さんは、この本を書かれた当時は新潟でワイナリーを経営していました。
現在は北海道でワイナリーを経営しているみたいですが、もちろんこの本では北海道ではなく、新潟のワイナリーををつくった理由について書かれています。
この本は2009年に書かれていますので、今回書く記事の内容も、2009年時点の本をもとにして書いています。
共感した点
ワイナリーをつくるということと税理士事務所を経営することに接点はあまりないように思いましたが、本を読んでみると意外に共通点も多く、共感する点も多くありました。
たくさん作らない贅沢
落さんは、ワインの生産量の上限を決めています(7万本)。
自信を持って世に出せる品質のものをお客様に過不足なく行き渡らせるにはこれぐらいが適正です、と書いています。
わたしも自分の仕事量には上限があると思っていますし、仕事の質を落とさずに拡大することはとても難しいことだと思っています。
まだ開業して2年半程度なので、仕事量はもう少し増やす予定ですが、上限に達したら、それ以上仕事量は増やさない予定です。
効率化や業務の標準化などで、拡大をしても仕事の質を保てる人もいるかもしれませんが、わたしの考え方には合わないので、そこは追いかけません。
落さんは、次のようにも言っています。
自分の目がしっかり行き届く範囲内でのワイン生産が、僕の基本理念なのです。
この点も、まさしく同感です。
自分の町こそ一番。地元を心から誇りに思う人々
落さんは、ワインの勉強のためにドイツに行き、そこで自分の生まれ育った地元での豊かな生活を目指す人たちに出会います。
わたしは、自分の町こそ一番とは思っていませんが、町の税理士として、地域を応援したいという気持ちを持っています。
誰にどう売るかの哲学
ドイツには町に酒屋がほとんどないそうです。
お酒を買う人は、直接醸造元から買うことが多いそうです。
税理士業界では、税理士紹介業の会社からお客様を紹介してもらうというようなことがあります。
醸造元から直接買うということとはちょっと違うかもしれませんが、わたしも、紹介業者などを通さずに、お客様に直接選んでもらうことを基本のスタイルとしています。
44歳で独立
落さんは44歳のときに、新潟県巻町にワイナリー・カーブドッチを設立しています。
わたしが独立をしたのも44歳です。
落さんは、ワイナリー経営塾も開講しました。
本の中で年齢についても触れていて、次のように書いています。
僕は44歳で開業しました。ただし、僕の場合はそれまでに十分な経験があり、その間にさまざまな失敗をくぐり抜けてきたからこの年齢で間に合った。44歳は体力的にもぎりぎりのスタートです。
わたしも44歳での開業で、それまでに14年の経験がありました。
さまざまな失敗をくぐり抜けてきたかというと、そうでもないかもしれませんが、経験が役に立っているのは昨日の記事でも書いたことです。
税理士業の場合、ワイナリーよりは体力を使わないので、44歳での開業がギリギリの年齢だとは思いません。
しかし、色々なことを考えると、まぁまぁ遅い開業でした。
落さんは次のようにも書いています。
ワイナリーは気の長い事業だから少なくとも20年、若くしてはじめるなら50年ぐらいの計はあってしかるべし。そう考えると開始時の年齢の限界が見えてきます。
この点も実に共感します。
税理士業も気の長い事業だと思います。
わたしは以前こんな記事も書いていました。
それでも20年以上はできると思ってやるしかないですね。
自分たちのファンをつくる
落さんは自分たちのファンをつくるためにニューズレターを発行しました。
税理士業の場合、ファンをつくるということは難しいです。
しかし、ブログで情報を発信することによって共感をしてもらうことはできると思っています。
そういった意味でも、ブログでの情報発信は今後も続けていきたいと思います。
落さんはこんなことも言っています。
「広告は嘘は言っていない、理想を言っているんだよ」なんて広告業界の友人は話していましたが、つまり何かを宣伝するときは、一人でも多くの方に商品を認知していただきたいと願うと同時に、ほんのちょっぴり勘違いしていただきたいというのもあるのです。でもそれは時として嘘になってしまうこともある。
だから、僕たちのレターではそういうことはしないようにしようと最初に決めました。
この点も非常に共感します。
ホームページやブログでお客様の勘違いを誘うようなことはなるべく書かないようにしています。
その結果、お客様に「正直な人だと思った」や「ざっくばらんに書いている」と言われたことがあります。
わたしは、その言葉をとてもいい意味で受け取っています。
地域密着型ワイナリーであるために
落さんのワイナリーに来られる方は新潟県内の地元の方が9割だそうです。
ちなみにわたしのお客様は千葉県内の方が100%です(笑)
人が財産の組織づくり
落さんは人も大切にしています。
スタッフの定着率も高く、社員はほとんどが新潟市内の人だそうです。
雇用、被雇用者の間に嘘はないようにとも言っています。
他にも労働条件と給与条件は新潟県内ではいい方だと思います、と書いてあります。
わたしは拡大を目指さないので、10人も雇うことはないと思いますが、人は少なくても組織は組織です。
人を大切にと思う部分は同じだと思います。
万人受けしない「個性」こそ宝
大きな組織では個性を出すのは難しいです。
小さな組織では、個性を大事にしたいものです。
落さんは、次のようにも言っています。
「お客様は神様」という言葉がありますが、本当にそうでしょうか。じつは僕はそうは思っていません。
この点も同感ですね。
わたしは以前にこんな記事を書いています。
落さんは、スタッフとお客様の関係が気持ち的にフィフティ・フィフティであるのが理想とも言っています。
まとめ
あることをきっかけに読んだこの本ですが、とても共感できる点が多い本でした。
落さんは、現在は北海道の余市町でワイナリーを営んでいるそうなので、いつかは行ってみたいなと思います。
また、この本を読むきっかけとなった出来事についても、近いうちに記事にしたいと思います。
【編集後記】
先日「カササギ殺人事件」の書評を書きました。
今、NHKBSプレミアムでは毎週土曜日にあなたが選ぶ!思い出のコロンボベスト20ということで、「刑事コロンボ」が放送されています。
少し前の時代のミステリーに興味がある人にはおすすめです。