2018年からは「つみたてNISA」も開始、個人事業主・フリーランスだからこそ、税制上優遇されている制度で老後の準備をしよう

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個人事業主やフリーランスにとっては、老後のための生活費をどうするかという問題があります。

公務員や大企業のサラリーマンであれば、退職金があり、公的年金も個人事業主に比べれば充実しています。

さらに、大企業のサラリーマンの場合は、企業年金がある場合もあります。

しかし、個人事業主やフリーランスの場合は、何もしなければ国民年金のみです。

国民年金の加入は義務なので、全く何もないということはありません。(国民年金加入の義務を果たしていなければ、何もありませんが)

国は、公的年金のみで老後の十分な生活費を保障はしてくれませんが、老後の生活費をまかうための資産形成を後押しする制度を用意してくれています。

税制上優遇されている主な制度として、小規模企業共済、個人型確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISA(2018年開始予定)の3つがあります。

個人事業主やフリーランスであれば、これらの3つの制度を利用しない手はありません。

しかも、これらの3つの制度を限度額の上限で利用すれば、かなりの資産を作ることができるのです。

老後のためのお金は、通常の生活費などと分けて考える

お金を貯めるときに、目的別に分けて考えた方がいいということを聞くことがありますが、お金に色はありませんから、本来であれば、分けて考える必要はありません。

しかし、税制上優遇されている制度を利用して、老後のための資産形成をする場合は、話が別です。

なぜならば、制度の目的が老後のためのお金になっていて、途中で解約すると不利であったり、そもそも引き出しができないものもあるからです。

ですから、小規模企業共済、個人型確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISAを利用して、老後のための資産形成をする場合は、老後まで使わなくてもいいお金を貯めることで資産形成をする必要があります。

最初にこの点を確認しておかないと、上手くいきません。

何事も、全てにおいて優れているというものはほとんどなく、有利不利があることがほとんどです。

老後の生活費を保障するために、制度上優遇されているわけですから、仕方がありません。

つみたてNISAについては、老後のためというのは、あくまでも制度の目的の一つに過ぎませんが、ここでは老後のために使う前提で話を進めます。

そこで重要になってくるのが、65歳までの生活費をしっかりと稼ぐことです。

65歳までにかかる生活費とは別に、老後のための資産形成をするのです。

ここでいう生活費には、子供の教育費や、住宅を購入する場合の頭金なども含みます。

とにかく、65歳まで使わなくていいお金で資産形成をすることが大切です。

実際は、65歳までの生活費を全て貯めてから老後のためのお金を準備するのではなく、ある程度のお金を貯めたら平行して老後のためのお金の準備を始めるようにしましょう。

ある程度のお金がいくらというのは、その人の状況によりますので、その点については自分自身で判断するようにします。

優先順位は、1.小規模企業共済、2.個人型確定拠出年金(iDeCo)、3.つみたてNISAの順で

これらの優遇制度には、金額の上限があります。

小規模企業共済の掛金の上限は月額7万円(年84万円)、個人型確定拠出年金の掛金の上限は月額6万8千円(年81万6千円)、つみたてNISAの非課税投資枠の上限は年40万円です。

つみたてNISAは、「つみたて」と言いながら、上限の年額を12で割って割り切れないのはいかがなものかと思いますが、月額にすると、3万3千円程度です。

3つの制度をフルに活用した場合の月額は171,000円にもなります。

年額にすると、約205万円です。20年続ければ、4,100万円です。

65歳までの生活費を確保しつつ、老後のために、月17万円のお金を貯めるのは大変です。

最初は、月3万円程度しか貯めることができないかもしれません。

しかし、これらの制度は、掛金を途中で変更することが可能です。

自分の状況を把握して、掛金を増やせるように工夫していけばいいでしょう。

優先順位としては、小規模企業共済、個人型確定拠出年金、つみたてNISAの順とするのがいいと思います。

ただし、小規模企業共済が満額になるまでは他の制度を利用しないというわけではありません。

そもそも、これらの制度の内容は同じではありません。

個人型確定拠出年金やつみたてNISAは、自分で資産を運用することになります。

例えば、月に5万円のお金を老後のために貯めることができる場合に、5万円を全て小規模企業共済の掛金として支払ってしまうと、自分で運用する部分がなくなってしまいます。

小規模企業共済の予定利率は現在1%と低い利率になっています。

全額小規模企業共済の掛金に回すのではなく、一部は個人型確定拠出年金で年率3~5%を目指した運用を行った方がいい場合も多いでしょう。

小規模企業共済と個人型確定拠出年金は、節税効果がとても高いのですが、つみたてNISAの節税効果はそこまで高くはありません。

ですから、優先順位の1位と2位の差は少しで、2位と3位の差は結構あるという感じです。

運用が好きな人であれば、小規模企業共済と個人型確定拠出年金の順位は逆でもいいと思っています。

もし、わたしが老後のためのお金に月10万円を貯めることができるとするならば、小規模企業共済に3万円、個人型確定拠出年金に5万円、つみたてNISAに2万円といった配分にします。

言っていることと違うじゃないか、という声が聞こえてくるかもしれませんが、わたしの場合は、インデックスファンドの積立を8年以上も続けています。

インデックスファンドの積立に慣れている人であれば、個人型確定拠出年金の優先順位を上げることは問題ないでしょう。

運用に慣れていない人や、運用には不安があるという人が月額10万円を老後のためのお金に回せるのであれば、小規模企業共済を上限の7万円、個人型確定拠出年金に3万円、つみたてNISAはやらないということでいいと思います。

無理に運用をする必要はありません。

運用について勉強をしてから始めればいいでしょう。

まとめ

個人事業主やフリーランスが老後のためのお金を準備するためには、税制上優遇されている制度を利用しましょう、ということについて書いてみました。

これらの制度は、途中で解約すると損をしたり、そもそも途中で引き出せないこともありますので、老後まで使わなくてもいいお金で始めることが大切です。

3つの制度の上限の金額は月額17万円にもなりますので、ご自身の状況に応じて、どの制度にいくら支払うかを決める必要があります。

通常は、小規模企業共済、個人型確定拠出年金、つみたてNISAの順に金額を配分していくといいでしょう。

運用に慣れている人であれば、個人型確定拠出年金を最優先しても構いません。

また、小規模企業共済、個人型確定拠出年金とつみたてNISAでは、節税効果に差がありますので、まずは、小規模企業共済と個人型確定拠出年金を優先しましょう。

いくら老後のためとは言っても、途中で使わなくてはいけないような状況になるかもしれません。

そういった場合は、小規模企業共済であれば、借入をすることができますし、つみたてNISAの場合は売却することもできます。

その点では、個人型確定拠出年金が一番融通が利きません。

万が一のことを考えて、個人型確定拠出年金のみを利用するのではなく、いつても売却できるつみたてNISAを利用するという手もあります。

ただし、小規模企業共済で借入した場合は利息が発生しますし、つみたてNISAを売却した場合には売却損が発生する可能性もあります。

世の中に絶対ということはないので、万が一のときを考えすぎても仕方がないので考え過ぎないようにしましょう。

最初は少額でもいいので、早目に準備を開始しておくことをおすすめします。

小規模企業共済や個人型確定拠出年金については、過去の記事も参考になると思いますので、ご紹介しておきます。

iDeCoや積立NISAは、「老後の足りないお金は自分で用意してね」という国からのメッセージ

2016.12.08

確定拠出年金に加入する前にデメリットも知っておこう

2016.09.22

小規模企業共済→個人型確定拠出年金→NISAの順で資産形成をしよう!

2016.06.15

個人型確定拠出年金で節税しながら資産形成しよう。

2016.03.22

先日、金融庁の主催で「つみたてNISAフェスティバル2017(つみフェス2017)」というイベントが開催されました。

残念ながら参加はできませんでしたが、金融庁の長官が現在の森さんになってから、個人の資産形成についての本気の取り組みが伺えますよね。

今後も期待したいです。

金融庁の森長官は、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016」にもメッセージを出していましたね。

「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016」に投票しました。

2016.11.01

【編集後記】

タネを植えるのが遅くなってしまったので、我が家では今ヒマワリが咲いています。

カナブンや蜂が花にとまっています。

アイキャッチ画像ではわかりづらいかもしれませんが、蜂は花粉まみれです。

来年はもう少し早くヒマワリのタネを植えた方が良さそうです。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。