ひとり社長や個人事業主の退職金は自分で貯めなければいけない

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本日発売の週刊ダイヤモンドでは、「退職金・年金」が特集されています。

来年から確定拠出年金にほぼすべての人が加入できるようになることもあって、ホットな話題です。週刊ダイヤモンドでは、ある程度大きな会社で働いているサラリーマンや公務員向けの記事になっています。

この記事では、ひとり社長や個人事業主の退職金や老後のお金について書いてみます。

退職金は自分で稼がなければいけない

雑誌やネットなどで、「老後のお金は8千万円必要です」とかいった言葉をよく見かけますよね。そこで、退職金が2千万円、公的年金が20年間で3千万円で、足りない分は3千万円です、などと書かれています。

これは、大企業のサラリーマンや公務員向けに書かれていることがほとんどです。

ひとり社長や個人事業主向けの言葉はあまり見かけません。サラリーマンや公務員に比べて、ひとり社長や個人事業主の人数が少ないのでしょうがないでしょう。

ひとり社長や個人事業主は、この退職金2千万円も自分で稼いで貯めなくてはいけません。

当たり前ですが、65歳で引退するときに、「よく頑張りましたね」と言って、誰かが退職金をくれるわけではありません。

人間は自分の都合の良いように考えてしまいがちです。どうせ、退職金なんて20年以上も先のことだからと思うと、何とかなるだろうと思ってしまうのです。

しかし、しっかりとお金を貯めておかなければ、何とかなりません。早いうちから、しっかりと準備をしておく必要があるのです。

上記の例で、老後の足りない金額が8,000万円だったとして、公的年金や退職金を控除後で3,000万円と書いてあったとしたら、3,000万円を貯めればいいと何となく思ってしまうのです。

個人事業主の場合は年金についても、国民年金のみですから、厚生年金との差額分も自分で何とかしないといけないのです。

ひとり社長や個人事業主は、退職金分と、年金の差額分も自分で稼いで貯めるということはしっかりと頭に入れておきましょう。

退職金の準備の仕方

退職金は、税金の制度上優遇されているものを利用しましょう。

国も、ひとり社長や個人事業主の老後の生活費が大変なことはわかっているので、ひとり社長や個人事業主の方が、制度上の優遇を大きくしています。

それが、小規模企業共済と個人型確定拠出年金(iDeCo)です。

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や個人事業主(共同経営者を含む)しか加入できないものです。

掛金が全額所得控除になるので、節税効果が高いです。掛金の上限は月7万円となっています。

個人型確定拠出年金も、同じく掛金が全額所得控除になるので、節税効果は高いです。掛金の上限は、個人事業主は月額68,000円で、ひとり社長で厚生年金に加入している場合は、月23,000円になります。

これらを上限の掛金で、40歳から65歳までの25年間加入して貯まる金額は以下の通りです。

ひとり社長  (小規模企業共済70,000×12月×25年)+(個人型確定拠出年金23,000×12月×25年)=27,900,000円

個人事業主  (小規模企業共済70,000×12月×25年)+(個人型確定拠出年金68,000×12月×25年)=41,400,000円

税金上、優遇されている制度を利用することで、退職金や年金の差額分程度は準備することができるのです。

これらの節税効果は、25年間で数百万円から1,000万円以上になることもあります。この金額も貯めておければ、老後の生活費が更に貯まりやすくなります。

(※)個人型確定拠出年金(iDeCo)は、運用結果によって資産総額は変わってきますので、この金額よりも増えることもありますし、減ることもあります。

個人型確定拠出年金の過去記事はこちら

「個人型確定拠出年金で節税しながら資産形成しよう」
「確定拠出年金に加入する前にデメリットも知っておこう」

NISAも利用しよう

税金の優遇という点では、上記の2つには劣りますが、NISAも税金上優遇されている制度です。

NISAは現状では、長期の資産形成に向いている制度にはなっていませんし、株式や投資信託の時下が下がったときには、デメリットにもなります。

しかし、NISAについては制度の改定で、より長期間のつみたてに有利な制度になるかもしれません。そうなれば、いまよりも使いやすくなる可能性が高くなります。

NISAについての過去記事です。

「NISAの非課税期間が20年に。長期のつみたて枠を」
「NISAの非課税期間が長期になることでつみたて投資がますます重要になる」
「金融庁の税制改正要望項目を、NISAや確定拠出年金など資産形成の点からみてみる」

まとめ

ひとり社長や個人事業主は、退職金や公的年金の差額を自分で貯めなければいけません。

これらのお金を貯めるには、まずは稼がなくてはいけません。

稼ぐ → 貯める → 老後のためのお金

となります。

まずは、自分で準備をしなければどうにもならないということを理解しましょう。

そして、貯めるためには、税金上優遇されている制度を利用しましょう。数百万円から1,000万円以上の優遇を受けられる可能性があります。

老後のためのお金について、書いてきました。

しかし、老後を迎えるまでにも、生活費や子供の教育などに当然お金が必要になります。これらのお金以外に老後のためのお金を貯めなければいけないのです。

最初に戻りますが、そのためにも、まずは稼がなくてはいけないということになります。

厳しい話になりますが、現実的な話です。老後の生活でお金に困らないようにするためにも、今からしっかりと準備をしておきましょう。

【編集後記】

たまに、小規模企業共済や個人型確定拠出年金は、自分で貯めたお金を将来貰うだけなのに、貰うときに税金がかかるのはおかしいという声をきくことがあります。

しかし、掛金を支払った時に、所得から全額控除されているので、貰った時に課税されるのは普通のことだと思います。しかも、退職所得控除や1/2課税で、かなり優遇されています。

例えば、銀行から融資を受けてお金が入ってきても、課税されません。その代わりに、借入金の返済でお金を支払っても、経費にはならないのと考え方は同じでしょう。

千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。